2025.07.31
法事の引き出物
年齢を重ねると法事に参加する機会も多くなると思いますが、法事に参加した際にいただく引き菓子というと何が思い浮かびますか?
地域などでも違うと思いますが、よく聞くのは焼き菓子やお饅頭、その他食品や調味料等ではないでしょうか?
そもそも法事のお返しとは、四十九日、一周忌、三回忌などの法要の際に、参列された方からいただくお供え(お香典)のお礼として、感謝の意味を込めてお返しする品物(返礼品)のことを言います。
引き出物の選び方のマナーとしては「形に残らない物」「消え物」を選ぶのが一般的です。
多くの場合、参加会場から持ち帰ることが多いので、重くなく程よいサイズの品物である事から、
焼き菓子などのお菓子や食品を選ばれる方が多いようです。
その中で山陰地方(島根・鳥取・岡山の一部)では、お菓子や食品ではなくパン、「法事パン」を配るそうです。
元々パンが配られる前は「あんこ餅」を配っていたそうで、お葬式の度にお餅をつくのは手間で大変ということから、
手軽に用意できるパンが配られるようになったそうです。
そこで「なぜあんこ餅?」となります。
出雲大社のある出雲地方では、旧暦の10月に全国から神々が集まり、このときに「神在祭(かみありさい)」と呼ばれる神事がとりおこなわれます。
その神事では、「神在餅(じんざいもち)」と呼ばれるあんこが入ったお餅が振る舞われたそうです。
この「じんざい」が出雲弁(なまり)で「ずんざい」から「ぜんざい」となり京都に伝わったと江戸初期の文献には記載されています。
また出雲地方はぜんざい発祥の地としても有名で、出雲大社周辺にはぜんざいのお店が沢山あります。
こうした時代背景もあり、あんこを使ったお餅が地元に根付き、法事でも使われたことから派生してあんこの入った「あんぱん」が配られるようになったといわれています。。
時代背景に合わせて定番だったあんぱんからクリームパン、ジャムパン、メロンパンなども法事パンとして配られるようになったそうです。