浮図田(ふとでん)
浮図田(ふとでん)
皆さんこんにちは
営業部の川原田です。
奈良の元興寺を訪れると
まず目に付くのは境内に整然と並べられた石塔です。
◆約2.500基の石塔や石仏があります。まさに「田園の稲穂」のごとく設置されています。
これらは
近年まで禅室の北西部石舞台に積み上げられていたものですが
昭和63年(1988)
現在の形に並べなおされ、浮図田と呼ばれています。
◆板碑や地蔵様が並ばれています。丁寧に彫刻されている文字が印象的です。
ちなみに
浮図とは仏陀のことであり
文字通り
仏像、仏塔が稲田のごとく並ぶ場所という意味だそうです。
◆鎌倉時代に造られた五輪塔。歴史に触れた瞬間です。
板碑五輪塔を中心とした供養塔や
阿弥陀仏地蔵尊などの石仏類があり
鎌倉時代末期から
江戸時代中期のものが多いようです。
中世期に
当時や興福寺大乗院関係の人々
近在の人たちが浄土往生を願って
極楽坊周辺に減罪積徳作善のため造立した供養仏塔です。
これらの石塔類にはいずれも
「道意」や「妙空」など僧侶の名前が刻まれています。
◆小畠先生に「お墓についてもっと勉強しなさい」とご指導頂きました。
中世の元興寺は興福寺大乗院の
菩提寺墓所の1つとなっていたため僧侶の石塔が多いようですが
臨終にあたって
法名をもらった僧侶以外の人も含まれまれています。
また、なかには「逆修」と刻むものも見られますが
これは生前に自らの極楽往生を願って石塔を建てたものです。
当時、石塔を建てるためには
大変な費用がかかったものと考えられ
こうした逆修供養ができる人々は
かなりの富裕層であったといえるでしょう。
毎年8月23日、24日の地蔵会の際に
過去聖霊の追善を祈り結縁者の家内安全を願って万灯供養が行われ
古式の
地蔵会として南都の風物詩となっているそうです。
次回に続く