お墓のかたち⑨
12月も半ばとなりましたが、降雪は思っていたよりも少なく、比較的過ごしやすい日が多かったように感じます。嵐の前の静けさという言葉もありますので、もしかしたらこの後に豪雪が待ち受けているかもしれませんが、まずは事故が無いように体調にも気を付けて油断せずに過ごしましょう。
さて、今回はお墓の彫刻に関することを少しお話ししていこうと思います。
サンドブラスト
昔は、鑿(のみ)と金槌(かなずち)で彫られていましたが、現在の文字彫刻はサンドブラストというサラサラとした砂粒の様な研磨材を高圧で吹き付けて、徐々に表面を削る手法が主流となっています。まず、墓石の表面を研磨(鏡面磨き)して、彫刻する部分を切り抜いたゴムシートを張ります。そこへサンドブラストすることで、ゴムを切り抜いた部分は研磨剤によって削られ、研磨する前の石目(白っぽく)になり、ゴムシートによって保護された部分は研磨された石目が残り文字や図柄を表現することができます。
直彫りと浮かし彫り
表現方法にも種類があり、線のみで描かれた図柄の彫刻や、線と黒塗りで描かれた図柄(花の絵であれば葉や茎は線、花や蕾は黒塗りになっている等)の彫刻などは「直彫り」(ちょくぼり‐じかぼり)と呼ばれ、その形を直接彫ります。
その反対に図柄の空白部分を彫り、図柄が磨き面として浮き出たような「浮かし彫り」という手法もあります。
今ではこの2種類が主流となっており、それぞれ石の色味や使用する図柄によって印象が変わります。基本的に彫刻を施した部分は白っぽくなり、色の濃い石であればどちらの手法でもはっきりと図柄を表現できますが、白い石の場合は磨き面を削っても同系色ですので、彫刻が見えにくい場合が多いです。ですが、彫刻部分に色を入れる(ペンキやスプレー等で着色)こともできますので、彫刻を見やすくしたい、より目立たせたいといった場合には石の色味に関わらずご要望いただければと思います。